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犬の表在性膿皮症って?原因・症状・治療・予防法まとめ【獣医皮膚科専門医が解説】

犬 表在性膿皮症
皮膚病解説

愛犬の背中やおなかのあたりに赤いブツブツ(丘疹)やカサブタ(痂皮)があり、かゆみを伴う場合、それは表在性膿皮症という皮膚病かもしれません。この記事では犬の表在性膿皮症の原因や症状、治療や予防法を獣医皮膚科専門医が優しく解説しています。

 

犬の表在性膿皮症(Canine superficial pyoderma)とは?

犬の皮膚の表面には様々な細菌が住んでいて、これらの菌を常在菌とよびます。常在菌は外から他の菌が皮膚につくことを防いでいます。しかし、何らかの原因で常在菌が増えて、皮膚の中や毛穴へ入り込んでしまうと皮膚炎が起きます。これを表在性膿皮症と呼びます。

 

表在性膿皮症の症状

お腹や背中を中心に、比較的強いかゆみを伴うブツブツ(丘疹)やカサブタ(痂皮)が見られます。皮膚の症状は身体の至るところに多発する傾向がありますが、稀に口の周りだけに症状が見られることもあります。

 

☆症状のポイント

  • 赤くなる/ブツブツとした湿疹(丘疹):左写真
  • 皮膚に膿がたまる(膿疱):中央写真
  • 黄色いフケやかさぶたがドーナッツ状に付着:右写真

犬 表在性膿皮症 症状

 

表在性膿皮症が発症しやすい犬種

毛の深い犬種(シェルティーなど)、毛が短くて硬い犬種(ブルドッグ、ボストン・テリア、ジャックラッセル・テリア、ミニチュア・ピンシャーなど)、アレルギー性皮膚炎を起こしやすい犬種(柴犬、シー・ズー、ウエスティー、パグなど)で起こりやすい傾向がありますが、どの犬種にも発症します。また、梅雨〜夏期の高温多湿の時期に多く見られます。

 

表在性膿皮症の原因

犬の皮膚常在菌の中で表在性膿皮症の原因となりやすいのは「ブドウ球菌」と呼ばれる細菌です。ブドウ球菌は、犬や人を始め多くの動物種に存在するメジャーな細菌です。しかし、犬は他の動物種に比べ、圧倒的にブドウ球菌による皮膚感染が起こりやすいです。それは一体何故なのでしょうか?下記に4つの原因を挙げておりますので、一つ一つ見ていきましょう。

 

①皮膚の分厚さ

実は根本的な問題に、皮膚の分厚さが関係しています皆さんは、『犬の皮膚と人の皮膚ではどちらが分厚いか』ご存知でしょうか? 正解は… 人の皮膚です。なんとなくのイメージとして、動物である犬の皮膚の方が分厚い気がしませんか?

しかし、犬の皮膚は毛に覆われており、外部の刺激から守られている為、人の皮膚よりも薄いです薄い皮膚では細菌が皮膚に侵入し易いため、皮膚の細菌感染が起こり易くなると言われています。下の写真は、人とワンちゃんの皮膚の組織を顕微鏡でみたものです。青矢印で示されている部分が『表皮』と言われ、皮膚バリア機能の主役となる皮膚となります。どちらが分厚いかは一目瞭然ですよね?

ヒト イヌ 皮膚の厚さの違い

 

②皮膚のpH

また、犬の皮膚のpHがアルカリ性であることも、細菌感染が起こりやすい原因の一つである、と言われています。(人の皮膚のpHは弱酸性です)

人のお肌は弱酸性、犬のお肌は○○性

 

③その他の疾患がある(二次的に膿皮症が起きている)

さらに、犬アトピー性皮膚炎やその他の皮膚病(感染症、先天性の皮膚疾患、ホルモン疾患など)を発症している犬では、二次的に膿皮症が発生しやすくなります。したがって膿皮症が見つかった際は、「本当に膿皮症だけが起こっているのか?膿皮症が起こる原因となった元々の疾患が他に隠れていないのか?」というところまで意識して考える事が重要となります。

 

④季節

膿皮症は春から夏にかけて発症しやすくなります。これは細菌が高温多湿の環境を好むからです。したがって気温が高くなってきたら、より一層愛犬の過ごす環境を清潔にするよう心がけましょう。

 

表在性膿皮症の診断

  1. 毛やフケを観察してノミ、ダニ、カビなどの他の微生物がついていないを確認します。
  2. 顕微鏡でブドウ球菌の増殖を確認します。
  3. ブドウ球菌の種類と効果のある治療薬を判定する検査(培養検査)をします。
  4. ブドウ球菌が増える原因を探します。身体検査で体調不良やアレルギー性皮膚炎の可能性を確認します。可能性が高い場合には血液、尿、レントゲン検査などの検査を追加で行うこともあります。

 

表在性膿皮症の治療

症状の範囲が狭い場合には抗菌クリームや消毒薬、抗菌シャンプーなどの外用療法で対応します。症状の範囲が広い場合には抗菌薬の内服や注射を行います。皮膚の症状が完全になくなっても、1週間内服や注射を継続すること、また定期的な外用療法(主にシャンプー)を続けることで再発を予防します。ブドウ球菌が増える原因が判明した場合はそちらに対する治療も行いますが、アレルギー性皮膚炎が原因であった場合には長期的なアレルギーの治療管理が必要となります。

外用薬によりアトピー性皮膚炎と再発性膿皮症が顕著に改善した犬の1例

 

表在性膿皮症の予後

多くの場合は2〜3週間で皮膚症状は治ります。しかし、ブドウ球菌は皮膚にもともと住んでいる菌なので数をゼロにすることができません。したがって、再発が非常に多い病気です。また、培養検査で薬の効きにくい菌(抗菌薬耐性菌)が見つかった場合には治りが悪くなります。

 

表在性膿皮症の予防法

復習となりますが、表在性膿皮症は細菌が皮膚の中や毛穴へ入り込んでしまう事で表在性皮膚炎が発症します。その為、皮膚のバリア機能を強化する事で、表在性膿皮症の予防が出来ると考えられています。日々のスキンケアであったり、外部環境が重要となります。詳しくは、下記紹介の記事に書いておりますので宜しければご覧下さい。

皮膚のバリア機能ってなんですか? 〜犬猫の皮膚の役割とケア〜

 

獣医師からひとこと

ブドウ球菌は人の皮膚住んでいて、赤ちゃんや年配の方に“飛び火”という皮膚病を起こします。この人の“飛び火”が犬の表在性膿皮症に近い病気になります。ちなみに人には人のブドウ球菌、犬には犬のブドウ球菌が存在するため(宿主特異性と言います)、人と犬の間でうつることは基本的にはありません。

  • (注)犬の皮膚に住む主な常在ブドウ球菌:Staphylococcus pseudintermedius
  • (注)ヒトの皮膚に住む主な常在ブドウ球菌:Staphylococcus aureus

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