犬の季節性脱毛症って?原因・症状・治療・予防法まとめ【獣医皮膚科専門医が解説】
日本では春から夏にかけて、そして秋から冬にかけての年2回、犬の毛の生え変わる時期があります。毛がよく抜けるのは生え変わりかなと思っていたけど、生えてこない!でも春になって暖かくなってきたら毛が生えてきた!!そんなケースはこのトラブルが原因かもしれません。
■季節性脱毛症とは
シュナウザー、ボクサー、イングリッシュ・ブルドッグ、エアデール・テリアで好発し、3~6歳で発症することが一般的です。秋から冬にかけて脱毛し、春~夏に育毛を認めます。多くのケースでは季節の移り変わりと共に脱毛の再発が認められますが、1回きりの発症というケースもあります。また、脱毛が生じても自然に生えてくることが多いと言われていますが、中には生えてこなくなったという例も報告されています。また、毛の色が変わってしまうことがあるのも特徴です。上の写真では、ミニチュアシュナウザーさんの被毛が一部、黄金色になっているのがお分かりになるかと思います。
■ 季節性脱毛症の皮膚症状
皮膚症状は左右対称に分布します。症状は背中から腰にかけて、境界が明らかな脱毛と色素沈着が見られます。脱毛した後、新しく生えてきた毛の色が濃くなったり薄くなったりすることがあります。多くの場合、かゆみは認めません。皮膚以外の症状を認めることはまれです。
■ 季節性脱毛症の原因
季節性脱毛症の病態は完全に解明されていませんが、特定の犬種で好発することから遺伝的な要因の関与が疑われています。脱毛には季節による日照時間や気温の変化が関与していると考えられています。
■ 季節性脱毛症の診断
犬種、脱毛の範囲、経過から診断することが可能です。詳細な毛の状態の評価には毛検査や病理検査が用いられます。
■ 季節性脱毛症の治療と予後
脱毛がはじまる数ヶ月前からホルモン調整剤やサプリメントを投与することで予防できる場合があります。
■ 獣医師からひとこと
いかがでしたか?このトラブルの場合は、自然に毛が戻ってくることが多く、体調の異常などは起こらないのでその点は安心です。もしも中高齢の犬が初めてこのような症状になった場合は、症状が似ている内分泌疾患などの病気でないか確認が必要です。かかりつけの動物病院の先生と相談してみてくださいね。
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