うちのポメラニアンはげてるんです。『ポメはげ』の解説
皮膚病のひとつに脱毛症があります。犬や猫で起こる脱毛症は様々ですが、動物病院に脱毛を理由に来院することの多い犬種としてポメラニアンがあげられます。
「ポメはげ」ってなに?
今回は「ポメはげ」というちょっと可哀想な呼び名がついているポメラニアンでみとめられやすい脱毛症の話をします。「ポメはげ」の正式名称は「脱毛症X」や「毛周期停止」といいます。病名からもこの病気がよくわかります。
脱毛症だけども原因が不明・・・だから脱毛症X!毛の成長する周期が止まってしまい脱毛する。
つまり、「原因がよくわからず毛の成長する周期が止まる皮膚病」なのです。この病気は30年前ほどから複数の研究はされているのですが、未だに原因は明らかになっていません。
体のどこから起こる?どんな症状が出る?
さて、脱毛ですが、多くの場合は以下の順番で生じます。
- 毛並みが悪くなる、毛がパサパサする
- 首、おしり、ももの毛が薄くなる(右側も左側も)
- 太い毛がなくなって、細い毛だけになる
- 頭と四肢以外、つまり体の大部分に広がる
- 細い毛も抜けてツルツルになり、皮膚が黒くなる
多くの場合はかゆくありません。ただし、脱毛部は刺激に弱く赤みやかゆみが二次的に出る場合もあります。また、脱毛が広がっても元気や食欲、排便排尿など健康状態の異常は認めません。脱毛症Xは男の子でも女の子でも発生し、発生する年齢も1歳〜10歳と幅があります。ちなみに、ポメはげといわれていますが、トイ・プードルやチワワ、サモエドなどの犬種でも発症することがあります。
どうやって診断するの?
さて、次は診断です。脱毛症Xの名前の通り、原因が不明のため、1つの検査のみで診断することはできません。脱毛症Xに似た症状が出る脱毛症を否定することで診断されます。その脱毛症Xに似た脱毛症とは・・・副腎、甲状腺、生殖器などのホルモンのバランスが崩れた時の脱毛症です。見た目が似ていて、脱毛の症状だけで鑑別することは難しいことが少なくありません。
したがって、ホルモンの異常を検索するために血液、尿、画像検査などが複合的に行われます。これらの検査でホルモンの異常が全く見られない場合、脱毛症Xとなります。
治療法はあるの?
次に治療ですが、様々な治療法があります。
- サプリメント(麹エキス、海草、アミノ酸、ビタミンなど)
- ホルモンの調整剤
- 育毛剤(塗り薬)
- 入浴
- マイクロニードル(皮膚を細かい針で刺激する方法です)
- 精巣の摘出(男の子の場合)
マイクロニードル
育毛剤 ※イメージです
この治療法ならば100%生える!という方法はありません。ホルモンの調整剤は種類によっては40〜80%の症例で発毛が期待できます。ただし、発毛の確率が高いホルモンの調整剤は副作用の問題が出る場合もあるため注意が必要です。また、治療で発毛しても、治療をやめると徐々に脱毛していく場合もあります。
したがって、長く・安全に継続できる治療法を選ぶことが重要となります。また、脱毛はありますが、ホルモンのバランス異常など健康上の問題は起こらないため、無理に治療を行う必要はありません。治療に関しては担当の皮膚科医と十分に相談することが大事です。
まとめ
いかがでしたか?ポメラニアンの脱毛症、まだまだわかってないことが多く、やっかいな皮膚病です。しかし、いろいろな治療法が現在までに検討されていますので、発毛をあきらめずに皮膚科の専門病院に一度相談してみてください。
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