犬猫の皮膚検査って何するの?

犬猫 皮膚検査
コラム

■ 愛犬・愛猫の皮膚が気になったら

皮膚病を診断するためには、見る(視診)、触る(触診)、症例のご家族からの聞き取り(問診)が特に重要とされます。見る、触る、聞き取りの過程で予想された皮膚病を確定診断するために、皮膚病の特殊検査を行います。この記事では、代表的な皮膚病の検査をあげてみます。

 

■ 動物の皮膚検査

① 菌を調べる検査

細菌や真菌(特にマラセチアというカビの1種)による皮膚病は犬や猫で一般的です。これらの菌を調べるためには、膿、フケ、かさぶたなどを採取して、特殊な染色を施し、顕微鏡で見る検査(細胞診)を行います。サンプルは直接ガラスの板を当てたり、テープでペタペタして採取することが一般的です。

顕微鏡検査 細胞診

 

真菌(皮膚糸状菌というカビの1種)が毛に感染しているかを調べるには紫外線ランプ検査が有用です。カビの感染した毛は紫外線があたると緑色に光ることがあります。光った毛はピンセットで採取して、顕微鏡でカビがいるかを確認します。

紫外線ランプ検査 ウッド灯検査

 

これらは、細胞診や紫外線検査は細菌や真菌がいるか、いないか?をその場でざっくりと確認する検査です。もっと詳しく菌の種類を同定する場合には、培養検査という少し時間のかかる検査が利用されます。しかし、感染している細菌や真菌にどの薬剤が効果的であるか調べる事が出来る為、効くか効かないか分からない薬を投薬してしまう可能性が減るというメリットがあります。

ここで紹介した検査はとても簡便であり、ワンちゃんや猫ちゃんへの負担もかからない為、最も実施される検査の1つとなります。

 

■ 寄生虫を調べる検査

ノミなど大型で皮膚の表面に感染する寄生虫を検出するためにはくし検査を用います。全身を目の細かいくしでくまなくコームし、寄生虫そのものや、寄生虫のフンを検出します。

寄生虫検査 コーム

 

ノミよりも小型で、皮膚や毛穴の中に感染する寄生虫にはヒゼンダニ(疥癬)やニキビダニが挙げられます。これらの寄生虫はくしで検出することは難しいため、皮膚の表面を掻き取ってダニを掘り出し、顕微鏡で見る検査が必要です(皮膚掻爬検査といいます)。皮膚掻爬検査は、皮膚に侵入した寄生虫を掘り出す必要がある為、掻き取る時に少ーし痛みが出る場合があります。(皮膚に少し血が滲む程度)

(写真)皮膚掻爬検査で検出されたダニの仲間

皮膚掻爬検査で検出されたダニ

 

■ 毛の異常を調べる検査

ピンセットや毛抜きを使って、毛を採取し、顕微鏡で見る簡便な検査です(抜毛検査といいます)。毛の検査を行うことで、キューティクルの状態や毛根の状態、毛の色の状態などを確認することができます。これらは主に脱毛症に用います。

(写真左)成長期毛と休止期毛の割合を確認するための検査
(写真右)毛に存在するメラニンの異常を確認するための検査

検査 成長期毛と休止期毛の割合を確認 毛に存在するメラニンの異常を確認

 

■ アレルギーの原因を予測する検査

アトピー性皮膚炎や食物アレルギーが疑われる際に用いられます。血液を採取する検査で、血液中に存在するアレルギーに関わる成分や細胞の活動を調べます。この検査だけでアトピー性皮膚炎や食物アレルギーの確定診断はできませんが、どのような物質(たとえばホコリや花粉、肉や穀類など)にアレルギー反応を起こすリスクがあるかを推測することができます。

動物病院での血液検査で、犬のアトピー性皮膚炎を調べられる?

 

■ その他の検査

皮膚は体の中を表す鏡といわれ、他の臓器が病気の時に皮膚に症状が出る場合があります。したがって、皮膚が悪い時に血液、尿、糞便の検査、レントゲンやエコー検査をして他の臓器を調べることがあります。

上記の簡単な検査では診断が難しい特殊な病気(たとえば皮膚のガンや免疫疾患)では、皮膚を一部切り取って(皮膚生検といいます)、細かい細胞のレベルまで確認する皮膚病理検査を行う場合もあります。

 

■ まとめ

このように皮膚病を診断するためにはたくさんの検査がありますが、冒頭で述べたように診断の第一歩は見る、触る、聞き取りです。皮膚病で病院を受診する前に、皮膚の状態を定期的に写真撮影しておくことや、生活環境や食事の内容、自宅やサロンで行っているスキンケアの内容、ワクチンや寄生虫の予防歴などを調べておくとスムーズな診察ができるので、ぜひ意識してみてください。

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