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副作用を減らしながらアトピー性皮膚炎とマラセチア性皮膚炎が改善した1例

皮膚トラブル症例

■ 来院理由

診察前の写真

今回ご紹介するのはアトピー性皮膚炎で治療中だった2歳のウエストハイランドホワイトテリアさんです。小さい頃からアトピー性皮膚炎でステロイドの内服薬による治療を受けていたようですが、皮膚の状態に悪化が認められたため来院されました。たしかに診察室内でも体を搔く行動がみられ、かなり強いかゆみがある状態であり、ご家族の方は大変心配されているご様子でした。

症状としては、ステロイドの内服薬を飲ませると一旦かゆみが和らぐが、まだ2歳と若い年齢であることからステロイドを与え続ける事に不安があるとのことでした。また、独特の皮膚のニオイが酷く、気になってしまうということでした。早く皮膚を良くしてあげて、思いっきり抱きしめてあげてほしいですね。

 

■ 2歳×ウエストハイランドホワイトテリア

ウエストハイランドテリアさんは、アトピー性皮膚炎やマラセチア性皮膚炎になりやすい犬種だと言われています。また、残念なことに、治療や症状のコントロールが難しく重症になることも多い犬種として知られています。そのため、症状が出始めたらすぐに、治療アプローチを開始することが重要となります。

また、今回はわんちゃんは2歳であり、若い年齢であることもポイントとなります。ご家族が心配されていたように、薬による副作用に気をつける必要がありました。ステロイドの内服薬は良い薬である一方、内蔵に負担が大きく肝臓の病気や糖尿病を引き起こしやすいというデメリットがあります。ステロイドに関する詳しい説明はコチラの記事をご覧ください。

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■ アトピー性皮膚炎 × マラセチア性皮膚炎

それぞれの皮膚病の詳しい説明は以下の記事をご覧ください。今回はアトピー性皮膚炎とマラセチア性皮膚炎は併発しやすい皮膚病の組み合わせであるということを解説します。実はヒトにおいても知られている『皮膚が乾燥すると必要以上に皮脂が分泌される』という関係性を理解することが重要になります。

アトピー性皮膚炎は乾燥しやすい皮膚であるため皮脂が分泌されやすい状態にあり、その皮脂をエサにするマラセチアが増えやすくなるという状況にあります。そこで洗浄力が高いシャンプーを使うと、必要以上に皮膚の皮脂をゴッソリ落としてしまい、皮脂のリバウンドが起こり、さらなるマラセチアの増殖が生じます。皮膚が皮脂でベタベタだと、とにかく洗浄力が強いシャンプーを使いたくなるのですが、急がば回れの精神でグッとこらえましょう!

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■ 今回の治療

皮膚の症状は眼の周りや耳、首から胸・お腹にかけて、わきと内また、足の裏などに赤みと脱毛、色素沈着などが認められました。症状の出ている部分を検査したところ、皮膚の常在菌であるマラセチア(真菌)が増えていました

①マラセチアが過剰に増えると強いかゆみを引き起こす原因になります。このような場合、まずは増え過ぎたマラセチアを減らし、強いかゆみを和らげる治療が必要になります。そこでまず、抗真菌薬の内服薬を用いてマラセチアを治療することにしました。

アトピー性皮膚炎による強いかゆみはステロイドのスプレー剤で治療することになりました。ステロイドのスプレー剤は患部に直接届くため、内服薬のステロイドよりかゆみを抑える効果が高く薬が皮膚から体内に吸収される時には分解されて弱いステロイドになっているため、内臓への副作用は最小限にできるという利点があります。

③皮膚の状態を改善するために、スキンケアを自宅で週に2回行ってもらいました。今回問題になっていたのは、マラセチア性皮膚炎をともなう『ベタベタ肌』アトピー性皮膚炎による『乾燥肌』であったため、クレンジングオイルを用いた『皮脂落とし』と低刺激シャンプー&保湿剤による『保湿』を中心におこないました。

 

■ 運命の再診日

診察後の写真

かなり改善が認められ、ステロイドのスプレー剤を使用しなくても良い程にキレイな皮膚になりました!改善したポイントとしては、ステロイドのスプレー剤が効果的であったことと、ご家族の方が週に2回のスキンケアをしっかりしていただいたことの2点となります。特に、クレンジングオイルを使用して皮脂をしっかり落とすことで、マラセチアの増殖を防げたこと、ステロイドのスプレー剤も皮膚にしっかり塗布できたことが治療が奏功した要因だと思います。(この後、スキンケアの頻度を週1日、2週に1日を減らしていきました。)

 

■ まとめ

いかがでしたか?週2回の自宅でのスキンケアは大変な面もありますが、うまくいくと非常に効果が出ることがお分かりいただけたかと思います。もちろん、私たちもスキンケア方法の指示をしますが、実際におこなうのはご家族の方です。今回はご家族の方の『この子を良くしてあげたい!』という気持ちが、ウェスティーさんを皮膚病から救ってくれたと思っています。皮膚の状態が良くなってニオイも激減したので、きっとご自宅で抱きしめてあげていることと思います。

アトピー性皮膚炎だから治らないと諦めていませんか?スキンケアに興味がございましたら、是非できることから始めてみてください。

■ まとめて読みたい

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