安全な駆虫薬により改善した犬のニキビダニ症の1例

犬 ニキビダニ症
皮膚トラブル症例

来院理由:1ヶ月前から痒みが出て、毛が抜けてきた

 

■ 1歳、ミニチュア・ピンシャー

脱毛している箇所か毛やフケの検査をしっかり行った結果、毛穴の中に住む『ニキビダニ』という寄生虫が見つかりました(アカラスや毛包虫とも呼びます)。

犬 ニキビダニ症 治療前

 

■ ニキビダニって?

ニキビダニは寄生虫なのですが、他の動物や草むらなどから伝染るタイプの虫ではありません。ニキビダニは常在寄生虫といって、全てのワンちゃんの皮膚にも存在するダニなのです。(実はほとんどの人の顔にもいるんですよ。)このダニは、皮膚の毛穴の中に寄生しているのですが、基本的には悪さをすることはありません。

ニキビダニがなんらかの原因で増えてしまうと毛穴が傷ついて脱毛などの症状が起こります。ニキビダニが悪さをしないようにしているのはワンちゃんの免疫力です。したがって、免疫力が低下した状態のワンちゃんではニキビダニが増えることがあります。


【ニキビダニが増えやすくなる要因】

  • ステロイド薬の影響
  • 内分泌(ホルモン)疾患
  • 若齢もしくは高齢(仔犬と老犬は免疫力が低いため)

■このミニチュア・ピンシャーさんの場合

今回のワンちゃんはまだ若齢であり、成犬に比べると免疫力が整っていなかったこと原因であると考えられました。

さてさて、ニキビダニが増えてしまった場合、『駆虫薬』を使ってニキビダニの数を減らさなければなりません。駆虫薬には『飲み薬』や『注射薬』など色々な種類があります。このケースでは皮膚につけるタイプの駆虫薬での治療を行いました。(1ヶ月に1回)

この薬をつけてから1ヶ月後には痒みが減り、4ヶ月後にはキレイに毛も生えてきまいた。皮膚の状態を顕微鏡で確認すると、ニキビダニもいなくなっていました。

犬 ニキビダニ症 治療後

 

ニキビダニ症は再発しやすい病気である為、『皮膚の状態が良くなってからも駆虫薬を続ける事』と『ニキビダニがいない事をしっかり確認する事』が重要になります。

一昔前は、ニキビダニ症の治療薬は限られた種類しかなく、また副作用の問題が少なくありませんでした。今回の症例に使用した駆虫薬のように、効果的でかつ安全性の高い治療薬の選択肢が増えてきています。駆虫薬の選択はそれぞれのワンちゃんの年齢や症状の重症度、犬種などによって決定します。

いかがでしたでしょうか?アトピー性皮膚炎の治療にステロイド剤を使用していたら、『いつの間にかニキビダニ症が併発していた』なんて事が良くあります。ニキビダニにお困りの場合は、或いは、「いつもの皮膚と何か違うな」と思った場合には、動物病院に獣医皮膚科医に相談してみて下さい。

ピックアップ記事

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA