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食物アレルギーがある犬猫にチュアブルタイプのお薬を飲ませても大丈夫?

チュアブルタイプの薬やサプリメントってたくさんあるんです

 

■ チュアブルタイプの良いところ

最近では、動物にしっかりお薬を飲んでもらうために、美味しい風味や食感をもったチュアブルタイプのお薬やサプリメントが多く販売されるようになりました。愛犬愛猫にあげた事がある飼い主さんは「何故こんなに食いつきが違うんだろう?」と考えた事があるかもしれません。その美味しさの元は、『鶏肉や牛肉、大豆といった食材が使われている事』にあります。(製品によって内容物は異なります。)

これなら薬の無味や苦味をごまかせそうですよね!私たち獣医皮膚科医も食が細い動物に処方する際にとても重宝しております。

 

■ ココは気をつけて!

しかし、残念ながらこれらのチュアブルは、『犬や猫での食物アレルギーを起こす可能性』が報告されています。例えば、牛肉を使用しているチュアブル製品を食べた動物に、牛肉アレルギーがあった場合、アレルギーが引き起こされてしまいます。これは数の問題ではなく、たとえチュアブルタイプのお薬1個だけ食べただkでも食物アレルギーの症状は発生してしまいます。

したがって、食物アレルギーのリスクがある、またはすでに食物アレルギーと診断されている症例ではチュアブルタイプのお薬の使用には注意をはらう必要があります。

 

■ うちの子は食物アレルギーっぽい?

犬や猫の食物アレルギーを疑うポイントを覚えておきましょう。

  • 皮膚のかゆみ、赤み(特に四肢端、耳)
  • 耳アカが多い、耳のただれやかゆみ
  • お腹がゆるい、うんちの回数が多い、吐く

といった症状が慢性的に認められると、『食物アレルギーっぽいな』となります。勿論全ての動物が同じ症状になる訳ではなく、これらの全ての症状に当てはまる場合もあれば、一部しか当てはまらない場合もあります。

これらの症状が存在しチュアブルタイプのお薬を使用している場合には、動物病院で相談する事をオススメします。その際に、チュアブルタイプのお薬を飲んだあとに症状が出る(あるいはひどくなる)、といった流れがあるかも確認しておきましょう。

四肢や耳の痒みが顕著な食物アレルギーのワンちゃん

 

■ 食物アレルギーの診断をするときに注意!

食物アレルギーの診断には、主に「除去食試験」という検査が行われます。この検査は、原因として疑われる食材を取り除いた食事(アレルギー用フードや療法食ともよばれます)に約2ヶ月間切り替えて、症状が改善するかを確認する検査です。

試験期間中にチュアブルタイプのお薬を飲んでしまうと、正確な判定ができなくなってしまいます。獣医さんから除去食試験の提案があった際には、チュアブルタイプの薬の使用していることを申告しましょう。

 

■ ノミやダニ、フィラリアの予防薬にも注意

チュアブルタイプのお薬にはいろんな種類がありますが、特にノミやマダニ、フィラリアの予防の薬が多いですね。もちろんこれらの寄生虫を予防することは健康維持においてとても重要なことなので、食物アレルギーがあるから予防しない!という事になっては本末転倒の知識となってしまいます。「じゃあ、寄生虫の予防はどうするの?」というと、いくつか方法があります。

ノミやフィラリアの予防薬には皮膚につけるスポットオンタイプの予防薬があります。製剤によっては、マダニに対しての効果が低い場合もありますが、ダニが付かない様に草むらを避ける、またはダニ予防のカラーを併用するなどの対策をとればよいでしょう。スポットオンタイプの薬は、つけるのを嫌がるコもいます。つけた後に背中を床にこすりつけたり、皮膚炎が出たり、沈鬱してじっとして動かなくなることがあります。このような場合は、チュアブルタイプでない錠剤タイプの薬がいいかと思います。フィラリア予防の薬には注射タイプの予防薬もあります。つけるのも、飲ませるのもどうしてもできない場合は、かかりつけの獣医さんに相談してみて下さい。

 

■ どうしてもチュアブルタイプのお薬が使いたい!

食物アレルギーがあるから絶対チュアブルタイプのお薬が使えない、というわけではありません。この場合、診断が重要となります。どの食材にアレルギーを起こしているかを、除去食試験で推測します。試験の結果から、牛肉や鶏肉、大豆などのチュアブル製剤に用いられる食材に問題がないと判定された場合は、チュアブル製剤の使用は可能です。

最近食物アレルギーに配慮したピルポケット(投薬補助トリーツ)も発売されているので、このようなトリーツで錠剤を包んで食べさせてあげても良いでしょう。

ペティエンス社 『PEペティッツ投薬補助トリーツ<アレルゲン除去>』

 

■ まとめ

いかがでしたか?チュアブルタイプのお薬はとても便利な薬ですが、食事アレルギーの犬への使用には少し注意しなければならないポイントがあることをご理解いただけたかと思います。チュアブル製剤の選択や食物アレルギーの対策は、かかりつけの動物病院と相談して決めてあげて下さいね。

食物アレルギーはまだ分かっていない事が多く、獣医皮膚科専門医の中でも意見が割れる分野となります。そこで大切になるのは『絶対にこうだ!』と決めつける事ではなく、『どうしたらもっと良くなるのだろう』と、考え続ける事だと思います。(獣医師も飼い主さんともに)『今の常識』は『未来の非常識』になる可能性があります。動物の役に立つ新知見を発信出来るよう、日々の診察や研究に取り組んでまいります。動物の声に耳を傾け、症状に目をやり、SOSのサインを見落とさないようにしていきましょう。

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