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ステロイドって、犬猫にとって危ない薬ですか?

ステロイドは動物の皮膚科診療のみならず、他の診療科でも処方されるお薬です。ステロイドに関しては、安全性や副作用に関して、いろいろな情報が飛び交っています。みなさんも「どの情報を信じて良いの?」と、とても迷うかと思います。今回は皮膚科の観点から、ステロイドの光と影を見ていきたいと思います。

 

そもそもステロイドって?

まずステロイドという薬の特性です。ステロイドは副腎皮質ホルモン製剤グルココルチコイド製剤ともよばれます。副腎皮質ホルモン製剤の名前からわかるように、ステロイドはホルモン製剤になります。

「ホルモン」は体の中で合成される物質で、体のバランスを維持するために重要です。ステロイドホルモンも体の中で合成されていて、副腎と呼ばれる臓器はステロイドホルモンを合成する臓器の一つです。ステロイドホルモンは別名ストレスホルモンともよばれます。体に過度なストレスがかかると、最終的にはショックをおこしてしまいますが、体がストレスに耐えうるように分泌されるホルモンです。

ステロイドの効果は?

薬としてのステロイドは

①炎症やかゆみを抑える作用

②免疫を抑える力

などがあります。皮膚科領域では皮膚炎やかゆみを緩和するために、塗り薬、飲み薬、注射薬などのステロイド剤が使われます。また、まれな病気ですが免疫疾患といって、免疫のバランスが悪くなって皮膚に害が出る病気では、ステロイドの”免疫を抑える力”を利用することがあります。

さらには、一部の皮膚のガンの症状を抑えるためにもステロイドが使われます。また、ステロイドは作用が比較的早く発現するメリット(つまり即効性)があります。このように、ステロイドは様々な皮膚病の症状を緩和するために必要な薬であることがわかります。

 

気になる副作用は?

つぎに、副作用の面を見てみましょう。薬としての効果を期待してステロイドを用いる場合は、体の中で分泌されているステロイドホルモンより多い量が投与されます。したがって、体の中のホルモンのバランスなどが崩れて、様々な臓器で副作用が生じるリスクはあります。


副作用としては

・副腎・・・ホルモン産生の抑制(*)、副腎機能の抑制

・肝臓・・・肝酵素値の上昇(*)、脂肪の蓄積

・腎臓・・・尿が多くなる(*)、電解質のバランスが悪くなる

・膵臓・・・糖尿病、膵炎

・膀胱・・・膀胱炎

・皮膚・・・脱毛、皮膚がうすくなる、皮膚の感染症が起こりやすくなる

・筋肉・・・筋力低下(*)

・循環器・・・水分貯留

・リンパ節・・・免疫抑制

・中枢神経・・・水を飲む量が多くなる(*)、性格の変化(*)


こうみると本当にたくさんの副作用があって、とても怖い薬のように思えますね。

 

むやみに怖がらず、落ち着いた対応を

ここに記載した副作用は、ステロイドを投与した際にすべてが起こるわけではありません。(*)をつけた副作用は短期的な投与で起こるものですが、その他は慢性的な投与によって生じやすい副作用になります。そして、多くの副作用はステロイド剤を止めることで回復することが可能です。

したがって、やみくもにステロイドは危ない薬!と決め付けないようにしましょう。

 

まとめ

ステロイドを適切に使うポイントは、計画的にステロイドを使用し、予想される副作用をモニタリングすることです。また、すべての皮膚病・症例が同じようにステロイドの適用になるわけではなく、

・本当にステロイドを使わなければいけない病気か?

・ステロイド以外に治療選択がないか?

・ステロイドで副作用が出やすい状態・体質でないか?

といったことも、確認することが必要となります。担当皮膚科医との十分な相談を行って、正しい理解のもとでステロイドの使用の是非を決めましょう。

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