新しいタイプの治療薬を使用して良化した犬のアトピー性皮膚炎の1例
来院理由:子犬の頃から痒みが続く
■ 4歳、オス、柴犬
5ヶ月齢の頃から皮膚の痒みが続き、これまで低アレルギー食による食事療法とステロイドの内服薬で治療を受けていました。診察時には左右の前足と後ろ足、胸やお腹の部分に痒みに伴う脱毛が認められました。柴犬さんで若い頃から続く痒みがある時に、最も疑われる原因はアレルギー性皮膚炎、特に犬のアトピー性皮膚炎です。
■ 犬のアトピー性皮膚炎の特徴
手足、首からお腹(特に体の内側の部分)、顔周辺や耳、お尻周りなどに左右対称に痒みが認められます。また、外耳炎も高率に発生します。
この病気は遺伝的な要因が関わっているため、特定の犬種で起こりやすいと考えられています。日本国内の皮膚科診察では、柴犬の症例数は特に多いです。その他、シーズー、ウェスティ、フレンチ・ブルッドッグなどもアトピーになりやすい犬種といわれています。痒みや皮膚炎、外耳炎などのアトピーの症状は、年齢が3歳になる頃までに始まることが多いといわれています。
診断は第一に上記のような犬種や年齢、皮膚や耳の症状、経過からアトピーを推測します。その後アトピーと症状が似る、あるいは併発することのある他の皮膚病(寄生虫や菌の感染、食事のアレルギーなど)を鑑別するための検査を行います。アレルギーの血液検査なども用いられますが、アトピーを必ず診断することが可能な検査は存在しないため、種々の検査による包括的な判断が必要となります。したがって、アトピーと診断されるまで、2〜3ヶ月かかることもあります。
人と同様に、犬のアトピーを完全に治す方法は現在のところ存在しません。治療の目標は、犬が日常の生活に支障のない程度に痒みと皮膚の状態を保つことになります。症状を管理する上では、薬が有用ではあります。しかし、『完全に治らない=長期的な薬物投与が必要』、ということになるので、副作用等の問題も考慮しなければいけません。したがって、犬のアトピーの治療は薬だけに頼らずに、食事の管理やスキンケアなどを組み合わせて行うことが重要です。
■ この柴犬さんの場合
薬と食事による管理では痒みを十分コントロールできず、脱毛が残っていると考えられました。さらに使用されていた薬がステロイドであったため、長期的な投与による副作用を考慮しなければなりません。
そこで近年登場した新しいタイプの犬のアトピーの治療薬(アポキル)へ変更することとなりました。また、食事の管理をしてもらうとともに、スキンケアを加えました。スキンケアとしては、犬アトピー用の薬用/低刺激シャンプーと保湿スプレーを用いました。
その結果、5ヶ月後にはこんなにキレイになりました!
現在、犬のアトピーの治療オプションは人の医療を超えるほどの発展を遂げています。薬ももちろんですが、薬のみに頼らず総合的なケアによって十分に症状を管理することが可能となっています。
うちの子は(シーズー女の子、今月26日で1歳)
食物アレルギーなのでおやつやご飯は何を与えていいのかわかりません。ご飯はアレルギーの子用のご飯を与えてもよくなりません。さつまいもとかカボチャなどをご飯の代わりに与えてもいいのでしょうか?
中谷様
はじめまして、獣医師の豊田と申します。食物アレルギーの場合、『食べられる食材を探す』というのが重要となります。
そして、それらは簡単に分かるものではなく(血液検査もありますが、完全に確立された検査ではありません)、『これまで食べた事がない食事をとる』事が大切となります。
さつまいもやカボチャにアレルギーがある子もいれば、ない子もいる、という事になります。
うちのワンコは日本犬雑種で、毛が円形状の様に抜け始めて3カ月経ちます、まだらに段々と広がっていき抗生物質を今、約1カ月と整腸剤を飲んでます、検査を毎回してもよく分からず獣医師さんも担当がコロコロ替わるし先週はホルモン検査もしました。明日も診察です、また抗生物質が出る可能性ありです。何か検査ばかりな気がして我が子が心配なのでセカンドオピニオンを考え中です。
塚本様
コメント遅くなりました。円形状に抜ける、となるとアトピー性皮膚炎ではないかもしれませんね。
カビや細菌、ホルモンの病気など幾つかの皮膚病が考えられますね。
動物病院にも得意不得意があるので、科目毎にセカンドオピニオンをもっておくのは良いことだと思います。
ホルモン検査をしました、異常なしです
毛も生えてきました。
本当にありがとうございました!
塚本様
コメントありがとうございます。
また、毛が生えてきて良かったです!また何かございましたらご質問下さい(^^)