教えて!犬の耳の毛って抜いて良いの? ダメなの?
「うちの子は定期的に耳毛を抜いているのですが、抜かない方が良いのでしょうか?」という質問をよくお受けします。
皆さんは愛犬の耳毛、どうしていますか?
皆さんご存知の通り、犬には人と違って耳の中に毛が生えています。では、この毛は必要なのでしょうか?ない方がいいのでしょうか?それとも、あってもなくてもいいのでしょうか?皆さん気になりますよね。長年に渡る疑問に獣医皮膚科医がズバッとお答えさせて頂きます。
答えは・・・
状況によります!
「え?それってどういうことですか?」と思われましたか?ハッキリと白黒付けられない理由とともに、例を挙げながら丁寧にご説明させて頂きます。
状況その①
例えば、耳に炎症があって赤く腫れている場合を考えてみましょう。耳毛があると、炎症の原因となっている雑菌(この雑菌とは細菌や、マラセチアという真菌などのことです)が増殖して、より悪化してしまうので、耳毛を抜きたくなりますね。しかし、耳毛を抜く事による刺激でさらに炎症が起こり、より症状が悪化することも考えられます。この場合、耳毛は抜かないほうが良いという結論になるでしょう。
状況その②
では、耳毛が多い犬種(トイプードルなど)での、耳の病気の予防という観点ではどうでしょうか。細菌や真菌は温度や湿度が高くベタベタした環境を好むので、耳毛がない方が通気性も良くなり細菌や真菌の繁殖を防ぐことができます。実際に、毎日耳の洗浄液を使って洗ってもなかなか改善しなかった外耳炎が、耳毛を抜いて通気性を良くすることですっかり治ってしまったという患者さんもいます。この場合、「抜いた方が良いのかも?」という議論の余地が出てきますね。
まとめ
なぜ、「耳毛をどうするべきか?」という質問の答えが「状況による」とはっきりしないのでしょうか?それは、調べた人がいないからです。つまり、耳毛を抜いた場合と抜かない場合それぞれのデータが無く、しっかりとした実験がなされておらず、結果が証明されていないからです。その為、トリミングサロンや病院によって意見はそれぞれとなってしまうのですね。
最近では、私たち人間の耳掃除でも『綿棒は必要ない』と言われております。今私達が当たり前と思って行っていることも、数年後には非常識になっているかもしれません。大切なことは、何事も盲目的に信じこまず、目の前にいる愛犬の状況を自分で考えながら、獣医師と相談して選択していくことかもしれません。
ちなみに、当グループ(Vet Derm Tokyo)皮膚科医は耳毛を短くカットする事をオススメしております。耳の毛は、耳道内に異物を入れないなど、大切な役割をしていると考えられます。むやみに抜くのではなく、状況によって生かしてあげることも選択肢の一つと考えてあげましょう。
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