犬のフケってどうして出るの?
フケは古くなった皮膚、とよく言われますが、その正体は何でしょうか?
■フケの正体とは!?
フケは皮膚の表面に認めるため、皮膚の表面の構造からできることが予想できます。皮膚は外側から表皮、真皮、皮下組織の3層の構造を取りますが、フケができるのは一番外側の表皮です。
■ 表皮のお話
表皮は角化細胞(かくかさいぼう)という細胞がタイルの壁を形成するようにならんでいます。細胞同士が手と手を取り合って、外からの刺激に耐えたり、水分の喪失を防いだりしています。
表皮の層は真皮に近い部分より、基底層、有棘層、顆粒層、角質層とよびます。基底層に存在する角化細胞が増殖を始め、有棘層、顆粒層へと成長して、タイルの壁が形成されます。
■ 死んだ細胞がバリア機能の主役!?
顆粒層まで成長した角化細胞は “死んで”しまいます。しかし、ここからが重要です。死んだ角化細胞は固くて強い角質細胞へと変化し、角質細胞がたくさん積み重なって角質層がつくられます。角質は表皮の中でも最も外側に存在する構造で、皮膚バリア機能の主役とも言われています。
■ フケの誕生と、よく耳にする“ターンオーバー”
古くなった角質細胞は最終的に皮表から脱落します。この脱落した角質細胞が「フケ」です。基底層から角化細胞が成長し、角質細胞となって最終的にフケとして落ちるまでの流れをターンオーバーといいます。健康な犬ではターンオーバーが約3週間と考えられています。健康な犬でもターンオーバーが起きています。つまりフケはできているのです。
ただ、3週間に1回のターンオーバーのサイクルであれば、フケは目立ちません。では、フケが多い犬では何が起きているか?ということですが、これはターンオーバーの時間が短くなっています。
■ ターンオーバーを短くする原因は?
犬でターンオーバーを短くする・フケが多くなる要因には以下のものがあげられます。
①皮脂のバランスの異常
皮膚が皮脂でベタベタする犬ではフケが多い傾向があります。皮脂はターンオーバーを調整する重要な要因と考えられています。過去の報告では皮脂がたくさん出る皮膚病(脂漏症といいます)の犬ではターンオーバーの時間が平均1週間に短縮すると報告されています。
②乾燥
角質細胞と角質細胞の間は、脂分が埋めています。また、角質の表面は皮脂膜が覆い、角質を剥がれにくくしています。乾燥肌では、角質細胞の間の脂分と皮脂が不足し、角質細胞がはがれやすくなり、フケが目立ちます。
③毛をカットする
トリミングに行った後にフケが多くなる、といった経験があるかたも多いかと思います。よく、シャンプーが合わなかったのかしら・・・?とか、ドライヤーで乾燥したのかしら・・・?などの意見を聞きますが、そうではないことも多くあります。
犬では毛を短く刈ると、一時的にターンオーバーの時間が早くなることが知られています。犬は人と異なって、毛で全身を覆われています。したがって、毛も皮膚バリアにとって重要な役割を果たしています。毛が短くカットされると、「毛がなくなったから角質をもっと作らなきゃ!」となり、ターンオーバーが早くなることが推測されています。
④皮膚炎
アレルギーや感染症など様々な原因で皮膚に炎症が起こると、炎症の産物により表皮のターンオーバーが早くなると考えられています。炎症が落ち着くとともに、フケの量も減っていきます。
■ まとめ
このようにフケが生じる理由はさまざまです。『フケ=落とした方が良いもの』という訳ではありません。乾燥やカット、皮膚炎で発生したフケに対しては、保湿、経過観察、炎症を抑えるといった処置が合わせて必要になります。フケの原因によってアプローチを変えることも重要です。
いかがでしょうか?より詳しい事は、動物病院の獣医皮膚科医にお尋ねしてみて下さい。
この記事へのコメントはありません。