皮脂ってなんですか? 〜犬猫の皮脂の役割とケア〜
皮脂とは皮膚の脂分のことですが、ニキビや化粧崩れ、顔のテカリの原因など悪いイメージがありませんか?でも、皮脂は皮膚でとても大切な働きをしてくれているのです。
皮脂はどこで作られる?
皮脂は毛穴のそばにある脂腺、とよばれる場所で作られます。脂腺で産生された皮脂は毛穴を通って、皮膚の表面に移動します。よく、皮脂は直接皮膚の表面に分泌!と思われがちですが、実は毛穴を通ってから表面にでているのです。
余談ですが、皮膚が皮脂でベタベタのワンちゃんは毛の根元に皮脂よごれがたくさんつきます。これは、まさに皮脂が毛穴を通って出てきている証拠ですね。犬や猫で、脂腺は毛のある皮膚のいたるところに分布していますが、特に首から腰、尾にかけての背中の部分、顎、粘膜のそば(例:まぶたやお尻の付近など)に多く存在しています。
皮脂はどんな働きをしているの?
皮脂は皮膚の表面を覆って柔軟性を与え、潤いを保つ働きをしています。また、皮膚や毛は水をはじきます。これは、水が皮膚についたままだと皮膚の水が失われて、乾燥の原因になるので、皮脂によって水をはじくのです。その他、毛のツヤを出したり、フケが過剰に出るのを防いだり、皮膚の表面で菌が増えにくい環境を作ったり・・・などなど健康な皮膚を維持するために様々な役割を皮脂は担っています。
皮脂の量に影響を与えるものは?
皮脂の産生は季節の影響を受けます。夏は高温多湿のため、皮脂の分泌が多くなります。一方、低温で乾燥した冬には、皮脂の分泌が減少して乾燥肌の原因になります。ホルモンのバランスも皮脂に影響を与えます。男性ホルモンが多いと皮脂の産生が多くなります。したがって、犬や猫でも男の子の方が、女の子よりも少し肌のベタつきが起こりやすくなります。
その他、体の代謝を担う甲状腺のホルモンの増減は皮脂の増減に関わると考えられています。皮脂の成分は食事から摂取した脂肪分より産生されます。したがって、食事の内容も皮脂の量や質に影響を与える場合があります。バランスの悪い食事、おやつの与えすぎなどは、皮脂に悪影響をおよぼすことがあります。
皮脂も“量と質”が重要です!
保湿、水をはじく、毛のツヤを出す・・・・などなど、皮脂は皮膚にとってなくてはならない存在です。これらの皮脂の機能がしっかりと出るためには、皮脂の量と質がとても重要です。皮脂の量ですが、少なすぎても多すぎてもだめです、つまり、カサカサでもベタベタでもダメ、ということです。
バランスが大切なんですね
少なすぎる方で間違いが起こりやすいのがシャンプーなどの洗浄です。カサカサでもベタベタでもなくちょうどよく皮脂の量を落とすシャンプーは存在しません。多くの場合は一生懸命洗って落としすぎてしまうので、洗った後は皮脂の成分に似た保湿剤をつけてあげるとよいでしょう。
一方、多すぎる方でトラブルが起きやすいのは、生まれつき皮脂の量が多い犬種です。シー・ズー、ウエスティー、アメリカン・コッカー・スパニエルなどはその代表です。これらの犬種は脂腺の量が生まれつき多いと考えられています。
皮脂が多い犬種についての解説はこちらをご覧ください
シーズーのなりやすい皮膚病|シーズーの皮膚がベタつく原因を解説
皮脂が過剰に産生され皮膚表面に長く残ると、本来の機能は失われて、単なる汚れになってしまいます。汚れた皮膚は、かゆくなったり、菌が増えたり、と様々なトラブルを起こします。皮脂の量が多い犬種では、定期的に洗って皮脂汚れが皮膚にたまらないようにすることが重要です。
皮脂は油です。脂腺から毛穴を通って、皮膚の表面に皮脂が出るとどうなるかというと、空気と触れます。空気と触れると皮脂は酸化して、悪くなってしまいます。たとえば、揚げものをしたあとのサラダ油をとっておくと、油が悪くなってきますよね。これも油の酸化です。
皮脂がその機能をしっかりと果たすためには、常に新鮮な皮脂でなければなりません。したがって、「洗浄や保湿を活用して、古い皮脂はしっかり落として、新しい皮脂に取り替えてあげる、あるいは補う」ことが重要ですね。
まとめ
皮脂のイメージ、変わりましたか?決して悪いものではありません。皮脂は皮膚や毛を美しく守るベールのようなものなのです。皮膚の健康のためには皮脂をバランス良く保つことを意識しましょう。
キャバリアの3才と4ヶ月の娘が皮膚炎で悩んでます。シャンプーも薬用から自然成分だけのものまで、いろいろ試してきましたが、なかなか改善しません。対処療法ではなく、根地治療を目指して食べ物、環境、ストレス解消、と勉強することが山積みです。
内海様
コメントありがとうございます。キャバリアさんだと、皮膚のベタベタでお悩みでしょうか?
お役に立てるよう、ページ作りに励んでまいります。