教えて専門医! 〜犬の皮膚のヒダのケア〜

シャー・ペイ
スキンケア

犬と猫では皮膚がヒダ状になっている部分があります。特徴的なのはブルドッグさんの顔ですね。目の下〜頬、口の周りにヒダがたくさんあります。その他、首の内側、脇、尾の付け根、足先などにヒダはできやすい傾向にあります。

一方、全身がヒダだらけ!といった犬種もいます。その代表がシャー・ペイです。写真でわかるようにすごいヒダの数です。

シャー・ペイ ヒダ

シャー・ペイは全身ヒダだらけです

 

さて、このヒダですが、犬種によってはその愛らしい外貌を形成するためにとても重要な反面、皮膚のトラブルを起こしやすい部位でもあります。

フレンチ・ブルドッグ

 

ヒダにはどのようなデメリットがあるかと言いますと

  • ①皮膚と皮膚が重なり、擦れる
  • ②皮脂よごれやフケがたまりやすい
  • ③温度と湿度が高い
  • ④皮膚の表面の菌が増えやすい

が挙げられます。①〜④のデメリットが放って置かれると・・・簡単に皮膚炎とかゆみを起こします。このようにヒダの部分に生じる皮膚病を「間擦疹(かんさつしん)」とよびます。

パグ

間擦疹が起きないようにするには日常的なスキンケアが重要です。とにかく汚れが溜まりやすいので、こまめに洗うことが重要です。(クレンジング剤による部分的なコットンでの拭き取りを行うことも有効です。)

シャンプーなどでこまめに洗えない場合は、赤ちゃん用のおしりふきなどで拭ってあげるだけでも構いません。他には、蒸らしたタオルを患部に3分くらいあてて、皮脂をとることも有効です。(スチームして毛穴を開かせて、皮脂を柔らかくして浮かせるイメージです。)皮脂をとった後は、乾燥を防ぐために、サラサラしたタイプのセラミドの保湿剤を塗布してあげましょう。

ウェットティッシュ

 

ヒダの皮膚病は温度と湿度の高い梅雨や夏季に悪くなります。生活環境内の温度と湿度を管理することは重要です。また、暑い日はシワの部分に保冷剤を当ててクールダウンしても良いでしょう。ヒダの皮膚と皮膚が擦れる場合には、擦れを起きにくくする潤滑剤として、クリームやローションなどの保湿剤を塗布してもよいでしょう。ただし、塗布した保湿剤もヒダの部分の汚れとなる場合もあるため、こまめに拭いて、あたらしい保湿剤を塗布するように意識しましょう。

保湿クリーム

クリームやローションを潤滑剤として塗ってあげましょう

ヒダのケアをしないで間擦疹が発生し、それも放っておくと菌が増え、強い痒みが引き起こされます。こうして、顔のヒダの部分を床やソファーにゴシゴシこすりつける、などの行動が認められるようにんります。そして、最終的にはシワの部分がガビガビに硬くなり、毛も抜けてしまいます。このような際には動物病院を受診して、消毒薬を処方してもらいましょう。

しかし、状態になると治療は少し大変で長い治療期間が必要となりますので、根気強く頑張りましょう。ブルドッグを始め、ヒダの多い品種では、若いうちから日常的なスキンケアを行い、間擦疹の発生を予防してあげましょう。

チャウ・チャウ

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