未来の患者を救いたい -アジアの獣医学会@韓国で発表してきました-

アジア 獣医学会 韓国
コラム

突然ですが、皆さんは動物病院に行った事がありますか?多くの方は、愛犬・愛猫を連れていった事があるのではないかと思います。そこでは獣医師や動物看護師が、目の前の動物を救う為、そして幸せな生活をサポートする為、いつも奮闘されているのではないでしょうか。

私たちは獣医皮膚科を専門とする獣医師チームなので、『皮膚病で苦しんでいる動物と飼い主さんの力になる』事に全力を尽くしております。実はそれと同じくらい大切にしている事があります。それは『学術活動』です。

 

■ 学術活動って?

学術活動とは、その名の通り『学術的な活動』の事を指します。『今まで誰も知らなかった事実を広く伝える』事が主な目的となり、『学会発表や論文投稿』等がこれにあたります。

 

■ 未来の患者を救いたい

目の前で困っている動物を救う事は勿論大切な事です。『未来の動物を救う』事も同じくらい大切だと思っております。私たちが行っている診察や使っている薬剤は、「この薬は使っても大丈夫だよ」「こう使うと上手くいくよ」という過去の学術情報によって支えられています。

例えば『今は治せない病気』も、学術活動によって『治せる病気』に近づいていきます。「より早く」「より副作用を少なく」「より安価に」、これらを支えるのは『学術活動』であり、『未来の患者』を救う事に繋がると考えています。

 

■ 今回発表してきた学会について

今回、AMAMSという学会で、弊社獣医皮膚科医 神田聡子と非常勤皮膚科医 大隅尊史が口頭発表を行いました。

AMAMSとは『Asian Meeting of Animal Medicine Specialties』の略であり、アジアにおける獣医臨床専門医制度の立ち上げを目的に設立された学会です。(http://www.amams2017.org/index.php?gt=about/about01)2年毎に学会が開催されており、これまで中国、台湾、タイ、インドネシア、マレーシアで開催されており、第6回目の本年は韓国で行われました。皮膚科を始め、内科、眼科、腫瘍科など様々な分野の専門医がアジア各国から参加する盛大な学会です。

AMAMS 学会

 

■ 発表内容について

弊社獣医皮膚科医の神田が行った発表は『猫の過敏性皮膚炎』についてです。過敏性皮膚炎とは『アレルギーによる皮膚炎』であり、ワンちゃん同様、ネコちゃんにも多く発生します。この皮膚病に対する新しい治療薬による効果をまとめたので報告してきました。

神田聡子 猫の過敏性皮膚炎

聴講者と英語でディスカッションする獣医皮膚科医 神田聡子

外耳炎 大隅尊史

得意とする外耳炎について発表する大隅尊史

 

※過敏性皮膚炎ってこんな皮膚病です

過敏性皮膚炎が劇的に改善した猫の1例

 

■ まとめ

目の前で困っている動物を救う事は勿論、未来の動物も救えるよう、これからも診察と学術活動を続けていきたいと思います。皆さんの周りでも学術活動を精力的に行っている獣医師さんがいたら、是非是非応援してあげて下さい。

また、学会参加を通して『アジア諸国の小動物臨床の現状』と『新しい情報』を窺い知ることが出来ました。日本での皮膚科診察に還元していきたいと思います。

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  1. 江川 泉

    はじめまして。我が家の雌猫のサリーは9歳になります。兄弟猫はジンジャーという雄猫で尻尾が短いのですが、彼女は10センチほどの尻尾があり、子猫のときから自分の尻尾を気にして噛み付いたり自分の爪で引っ掻いたりしていましたが、最近では尻尾だけでなく背中やお腹も痒がり、毛が抜けるほど舐めています。カツオのアレルギーがあるかもしれないと言うのを聞いて餌を変えたところ、お腹のハゲは少し治りましたが、尻尾はやはりひどく、気が狂ったように尻尾に噛み付いたり血が出るほど爪を引っ掛けたりしています。アレルギーかどうか、また治療できるものかお聞きしたいのですが、どうしたらいいでしょうか。

    • 豊田 陽一

      江川様
      はじめまして、獣医師の豊田と申します。
      最近は猫用のアレルギー血液検査が出てきましたが、確定診断に使われている訳ではないようです。
      基本的に症状や他の皮膚病の除外をもとに診断致します。

      治療も可能となります。食物アレルギーの場合、合う食物が見つかれば食事変更で治ります。食物が関与しないアレルギーの場合、基本的に投薬によって改善するので、動物病院でみてもらう事を検討して頂くのはいかがでしょうか?

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